社交不安障害とは

社交不安障害のイメージ写真

社交不安障害は、人前で注目を浴びる状況において、強い不安や緊張を感じてしまう疾患のひとつです。この障害を抱える方は、例えば初対面の人と会話をする場面や、社会的に立場の高い人と接する場面、あるいは多くの人が見ている前で重要なスピーチを行う場面などで、強い心理的なプレッシャーを感じます。その結果、極度の不安や緊張が生じ、それに伴ってさまざまな身体的症状が現れることがあります。

具体的な症状としては、動悸が激しくなる、手や体が震える、吐き気を感じる、冷や汗をかく、顔が赤くなる、めまいや息苦しさを覚えるなどが挙げられます。こうした症状は、本人の意思とは関係なく発生し、状況によっては症状が強まり、日常生活に大きな支障をきたすこともあります。そのため、社交不安障害の患者様の多くは、人前に出る機会を避けるようになったり、必要な場面では無理に出席するものの、強いストレスを抱えてしまったりする傾向があります。

二次的な問題が起こることも

社交不安障害が長期間にわたって続くと、二次的な問題が生じることもあります。例えば、不安によって外出や人付き合いを極端に避けるようになった結果、孤独感が深まり、うつ病を併発するケースも少なくありません。さらに、不安や緊張を和らげるためにアルコールを過剰に摂取するようになり、それが原因でアルコール依存症を引き起こしてしまう場合もあります。適切な治療やサポートを受けることで症状を軽減し、より快適な社会生活を送ることができるため、早めに専門医に相談することが重要です。

このようなときは当院をご受診ください

  • 人前で激しく緊張する
  • 手足、全身、声が震える
  • 顔が赤くほてる
  • 脈が速くなり、息が苦しくなる
  • 通常よりも多めの汗をかく
  • 吐き気が繰り返される
  • 口がカラカラに渇く
  • トイレが近くなったり、尿が出なくなったりする
  • めまいがする
など

治療について

社交不安障害の治療は、薬物療法と精神療法が基本となります。このうち薬物療法では、恐怖心を軽減させるために抗うつ薬を使用していきます。不安の症状が強い患者様の場合は、抗不安薬も使用します。こうした薬物療法に加えて、認知行動療法や森田療法などの精神療法も行っていきます。認知行動療法は、患者様ご自身が恐怖と感じている場面について、実は自らの思い込みであったということを認識し、そこから段階的に人前に立てるようにしていくという方法になります。森田療法は、不安症状を完全に無くすという方法ではなく、現状を受け入れながら、日常生活で必要とされる行動をしていくといった内容になります。