休職が決まった方・休職中の方へ

休職が決まると、「職場に迷惑をかけてしまう」「早く戻らなければ」と、不安や焦りを感じることがあります。しかし、休職は単に仕事を休む時間ではありません。心身を休め、生活を整え、安定して復職するための大切な治療期間です。焦らず、現在の状態に合った過ごし方を選びましょう。

休職から復職までの流れ

休職開始直後 療養期 復職準備期 復職後
心と体を休める 生活リズムと活動を整える 勤務に近い生活を練習する 無理なく働き続ける
睡眠・食事・休養を優先 散歩・家事・外出などを少しずつ始める 通勤・読書・パソコン作業などを行う 通院を続け、再発のサインに注意する

回復は一直線ではありません。途中で調子を崩したり、前の段階に戻ったりすることもあります。それは失敗ではなく、回復の過程の一部です。

休職中の過ごし方

休職開始直後

休職直後は、緊張がゆるみ、疲れや不調を強く感じることがあります。この時期の目標は「元気に活動すること」ではなく、「心と体を休ませること」です。

  • 睡眠、食事、水分を確保する
  • 起床・就寝時間を大きく乱さない
  • 仕事のメールや連絡から距離を置く
  • 家事や外出を無理に行わない
  • お薬を指示どおりに服用する
  • できないことを責めない

「休むこと」も治療の一部です。何もできない日があっても、怠けているわけではありません。

症状が落ち着いてきたら

体調に合わせて、少しずつ生活リズムと活動を整えます。

  • 毎朝なるべく同じ時間に起きる
  • 朝に日光を浴び、着替える
  • 長い昼寝や夜更かしを避ける
  • 短時間の散歩や軽い家事を行う
  • 読書やパソコン作業を短時間から始める
  • 活動した翌日に疲れが残らないか確認する

調子のよい日に頑張りすぎず、「無理なく続けられる量」を意識しましょう。

定期的に受診しましょう

休職中は、定期的な受診が必要です。調子のよい日だけでなく、つらかった日やできなかったこともお話しください。休職期間や復職時期は、状況などを踏まえて検討します。

簡単な生活記録表

日付 就寝
・起床
気分
(1~5)
主な活動 疲れ
・メモ
例:4月1日 23時・7時 3 散歩20分 午後に少し疲れた

毎日詳しく書く必要はありません。記録が負担になる場合は無理に続けず、受診時に伝えたいことだけメモしておきましょう。

カウンセリングも受けてみましょう

休養やお薬で症状が改善しても、休職に至った背景や、ストレスを抱え込みやすい傾向が残っていると、復職後に再びつらくなることがあります。
カウンセリングでは、臨床心理士・公認心理師などと一緒に、次のようなことを整理します。

  • 休職に至った経緯や職場でのストレス
  • 人間関係の悩み
  • 頑張りすぎや完璧主義の傾向
  • 不安や落ち込みへの対処方法
  • 復職後の働き方や再発予防

特に、不調を繰り返している方、復職への不安が強い方、つらくても我慢してしまう方に役立つことがあります。「何を話せばよいかわからない」という方でも大丈夫。受けてみたい方や迷っている方は、診察時に主治医へご相談ください。

カウンセリングの詳細・ご予約はこちら

復職を考える目安

大切なのは、「一日だけできるか」ではなく、「一定期間、無理なく続けられるか」です。

復職準備チェックリスト

  • 睡眠と起床時間が安定している
  • 出勤時刻に合わせて起きられる
  • 平日の日中に一定時間活動できる
  • 週に複数回、外出できる
  • 読書やパソコン作業に集中できる
  • 通勤に近い時間帯に外出できる
  • 活動した翌日に大きく体調を崩さない
  • 不調のサインと対処方法が分かっている
  • 復職後に必要な配慮を整理している

チェックの数だけで復職が決まるものではありません。主治医、産業医、人事担当者などと相談しながら進めましょう。

復職前に確認すること

復職が近づいたら、出勤時間に合わせた起床、身支度、通勤練習、読書やパソコン作業など、勤務に近い生活を練習します。
職場とは、次の内容を確認しましょう。

  • 復職日、勤務時間、仕事内容
  • 短時間勤務や段階的な復職の可否
  • 残業・休日出勤の扱い
  • 必要な配慮や相談担当者
  • 体調が悪化した場合の相談方法

勤務条件は、主治医の診断書だけで決まるものではありません。会社の制度や産業医の判断も踏まえて決定されます。

傷病手当金について

傷病手当金は、業務外の病気やけがの療養により仕事ができず、休職中に十分な給与を受けられない場合に、加入している健康保険から支給されることがある制度です。
一般的には、連続する3日間の待期期間を含めて4日以上休み、給与が支払われていない場合などが対象です。支給額は原則として、支給開始前の標準報酬月額を基に計算した1日当たりの金額の3分の2で、同一の病気やけがについて通算1年6か月が上限です。

申請の流れ

勤務先や健康保険から申請書を取り寄せる
ご本人が必要事項を記入する
勤務先に出勤状況や給与を証明してもらう
医師へ記入を依頼する
加入している健康保険へ提出する

1カ月以上定期的な受診がなく、状態を確認できない期間は記入できない場合があります。
制度や申請方法は加入している健康保険によって異なることがあります。勤務先または健康保険へご確認ください。

休職中のよくある質問

旅行をしてもよいですか?
旅行が一律に禁止されているわけではありませんが、回復段階によって判断が異なります。移動や環境の変化が負担になることもあるため、予定がある場合は、場所や期間を事前に主治医へお伝えください。
資格の勉強をしてもよいですか?
体調が安定していれば、短時間から始めることは可能です。睡眠を削ったり、長時間勉強したりせず、翌日に疲れが残らない量にしましょう。
転職活動をしてもよいですか?
症状が強い時期に大きな決断を急ぐことはおすすめしません。転職活動は想像以上に負担となり、退職すると健康保険や傷病手当金などに影響する可能性もあります。主治医や関係窓口へ相談してから進めましょう。
職場とはどのくらい連絡を取ればよいですか?
連絡する担当者、方法、頻度をあらかじめ決めると安心です。連絡によって症状が悪化する場合は、人事担当者など一人を窓口にしてもらえないか相談しましょう。
趣味や外出を楽しんでもよいですか?
楽しむことも回復のために大切です。ただし、予定を詰めすぎたり、生活リズムを崩したりしないよう、体調に合った範囲にしましょう。
副業やアルバイトをしてもよいですか?
休職中の就労は、勤務先の就業規則や傷病手当金の支給に影響する可能性があります。自己判断で始めず、勤務先、健康保険、主治医へご相談ください。

ご家族や周囲の方へ

無理に励ましたり、復職を急がせたりする必要はありません。本人の話を否定せずに聞き、睡眠や食事などを支えてください。 ご本人の同意がない場合、ご家族であっても診療内容や病状をお伝えできないことがあります。

つらさが急に強くなったとき

「死にたい」「消えたい」という気持ちが強い、自殺の方法を具体的に考えている、大量に服薬した、安全に過ごすことが難しい場合は、次回の予約を待たず、早急に医療機関へご相談ください。ひとりにならず、ご家族など周囲の方へ知らせてください。夜間や休診日など、当院ですぐに対応できない場合は、119番へ連絡するか、救急医療機関を受診してください。

最後に

休職中は、調子のよい日とつらい日を繰り返しながら、少しずつ回復していくことが一般的です。一時的に調子を崩しても、回復が振り出しに戻ったわけではありません。
当院では、お薬だけでなく、休み方、生活リズム、カウンセリング、復職準備、再発予防についても一緒に考えていきます。不安なことや迷っていることがありましたら、診察時に遠慮なくご相談ください。